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しっぴんぐ論壇

表1 神戸港のバース復旧状況

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表2 港勢復興状況

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現在は、一九九七年三月の復旧完了に向けて、本格復旧工事が展開されている。本格復旧完了時点のバース数は、バースの統廃合、新設、仮設桟橋(復興委員会構想)の建設により、最終的には、震災前の一八六(公社・公共のみ)から、一七〇に減少する。九六年七月現在時点の稼働バース数は九三(貨物用八○、旅客用一三)である。その内訳を見ると、すでに七五バースが本格復旧し、二バースが新設され、四バースが仮設桟橋に建設され、その結果、計八一バースが本格稼側状態にあるほか、暫定利用甲のバースが二一ある。残りの七七バースは来年三月の本格復旧完了に向けて工事中である。(表−参照)
一方、バースの本格復旧が進むにつれ、神戸港の荷動きも活発になってきた。総取扱貨物量で見ると九六年第−四半期(1−3月)には、震災前の九四年第−四半期の七六%の貨物が戻っている。同様の比較を細かく見れば、外国貿易貨物量では七八・六%、コンテナ貨物量では八○・八%「コンテナトランシップ貨物量では八五・八%の戻り率が達成されているのである。内国貿易貨物量の戻りが六八・三%と幾分低い点を除けば、とりわけ神戸港の特徴を成すコンテナ貨物量の回復率が相対的に高い点は、注目されて良いであろう。(表2参照)
しかし九六年第2四半期の速報値では、回復率の改善が鈍化する傾向が見え始めている。ハードの復旧を貨物の一層の確保にどう結び付けるか、いよいよ神戸港の復興は、正念場を迎えようとしている。なおこの間、九六年十月に神戸港の港湾労働者数が、はじめて六〇〇〇人を切った。労働者数が震災後に速やかに減少せずに、むしろ取扱い貨物量の回復過程で、かなりの時間の遅れをともなって発生しているから、これは神戸港の構造的労側力過剰を鑑識した労働者の自衛行動ともみられる。労働者が戻るかどうかは、新生神戸港の技術革新の程度にも依存しよう。
神戸港はハブ港たりうるか
すでにふれたように、神戸港は、アジアと北米を結ぶ国際物流の拠点的ノードとして機能してきたし、震災後においてもそうである。コンテナ貨物に占めるトランシップ貨物の割合(トランシップ率)は、震災前の九四年第−四半期には、輸出で二七・九%「輸入で二六・七%であったのが、最近の九六年第−四半期には、輸出で三一・三%一輸入で二七%になっている。確かに、最近のコンテナ貨物量に占めるトランシップ貨物の割合は震災前の八五・八%に止まってはいるが、トランシップ港としての機能と構造は基本的には変化していない。とりわけ九六年第−四半期の中

 

 

 

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